レンタルサーバ






サーバとは


 レンタルサーバとは「レンタル」される「サーバ」です。つまり、「貸出される」サーバです。では、「サーバ」とは何でしょうか。サーバは「クライアントサーバシステム」のサーバです。

 では、「クライアントサーバシステム」とは何でしょうか。クライアントサーバシステムは、複数台のコンピュータをクライアントとサーバに分け、役割を分担するシステムです。

 クライアントの役割はユーザからの指示に従って、サーバに要求を出し、サーバからの応答をユーザに提示することです。サーバの役割はクライアントからの要求に応答することです。

 クライアントとサーバは連携しています。クライアントはどんなサーバにでも要求を出せるわけではありません。クライアントは特定のサーバに対して要求を出すように最初から設計されています。サーバも同様です。どんなクライアントから要求されてもそれに回答するようにはできていません。特定のクライアントからの要求があって初めて、その要求に回答します。

 例えばWebシステムの例を考えてみましょう。WebシステムのクライアントはWebブラウザです。WebブラウザにはIEや、Chrome、firefoxなどがありますが、これらのブラウザはサーバに要求を出しますが、どんなサーバでもいいというわけではありません。Webブラウザの要求に応答できるのは、Webサーバです。メールサーバや、DNSサーバや、データベースサーバに要求を出すことはできません。Webブラウザは必ず、Webサーバに要求を出すように設計されています。WebサーバとしてはApacheや、IISなどがありますが、Webサーバの仕様に準拠して設計されていれば、Apacheも、IISもブラウザの要求を処理できます。

 サーバはインターネット上の様々なところから来る要求に素早く回答できるように一般的にはメインメモリ上に常駐しています。このような状態をプロセスといいます。サーバというプログラムがプロセス状態でクライアントからの要求を待っていますので、一般的にはサーバが稼働しているマシンは大きな容量のメインメモリを必要とします。

 サーバはインターネット上の様々なところから来る要求に素早く回答できなくてはならないので、高性能のCPUを備えています。多くの場合はマルチコアというタイプのCPUを備えています。

 ハードディスクは大容量です。Webシステムの場合、クライアントからの要求は基本的にドキュメントの要求ですので、サーバはドキュメントを格納しておくための大容量のハードディスクを必要とします。

 サーバが稼働しているマシンは基本的には365日、1日24時間休みなく動いています。量販店で手に入るような廉価なパーソナルPCではおそらく耐えられません。サーバ用に堅固に作られたマシンを、空調の利いた部屋で動かす必要があります。停電時にも稼働できるように電源装置などの準備も必要です。マシン室は入退出管理も必要です。

 マシンは耐震構造の、できれば免震構造の建物に収納したいところです。このように考えると自宅に、あるいは自社にサーバを立てて、インターネット上のクライアントに対してサービスを提供するのは大変なことです。

※サーバを稼働させるマシン(コンピュータ)は高性能のCPU、容量の大きなメインメモリ、ハードディスク、サーバを稼働させるにふさわしいOSがインストールされている必要があります。このようなマシンのことをサーバマシン、サーバコンピュータ、あるいは単にサーバということがあります。

 そこで出てくる解決策が、レンタルサーバの利用です。


レンタルサーバとは

 レンタルサーバと似たようなサービスとしてハウジングというサービスがありますので、レンタルサーバの説明をする前に、初めにハウジングの話をしたいと思います。

 ハウジングサービスは、顧客が自分のサーバをデータセンターに持ち込み、データセンターはインターネットへの接続回線などのサービスを提供するものです。

 自社内、あるいは自宅ではなく、なぜハウジングを利用するのでしょうか。ハウジングの理由はいくつかあります。提供するサービスがインターネットに公開するものである場合、世界中のあらゆるところからアクセスがあります。データセンターに設置すれば高速インターネット回線を利用することが可能です。

 インターネット上に公開するサーバは通常365日、1日24時間休むことなく稼働させなくてはなりません。災害時にも停止することなく稼働させるためには、耐震設備、免振設備の完備したデータセンターは設置場所として最適です。データセンターなら災害時にも電源を確保することが可能です。

 データセンターなら、入退出管理(認証チェック、監視カメラ等)などのセキュリティ面でのサービスも充実しています。


 これに対して、レンタルサーバ、ホスティングサーバ、あるいはホスティングサービスなどと呼ばれるサービスは、予めデータセンターに設置されているサーバ(センター所有のサーバ)のハードディスク上に顧客ユーザのエリアを作成し、それをユーザに貸し出すというサービスです。


 契約によってはサーバの運用・管理等も委託できますので、ユーザの負担は少なくなります。次のイメージ図は、Webサーバの運用・管理は全部任せて、利用者はドキュメントの作成アップデートなどに集中する場合を表しています。






 ハウジングではなく何故ホスティングを選択するかと言えば、一番の理由は経費でしょう。ホスティングの場合は、複数ユーザで1台のサーバを共有しますので、経費が安くなります。ハウジングの場合は、自分のサーバを持ち込む必要がありますので、物理マシンをどのように選択するか、どの位の頻度で更新するかなどを考えなくてはなりません。また、ホスティングでは契約の仕方にもよりますが、サーバの運用管理を任せてしまうこともできますが、ハウジングでは自分で管理運用する必要があります。



 サーバの運用にはUNIX、LinuxなどのOSがよく利用されますので、管理には専門的な知識と経験が必要となります。更に、ApacheのようなWebサーバ、PHPなどのスクリプト言語や、MySQLなどのデータベースの知識が必要となってきます。このような知識と経験を持つ社員を社内から見つけてくることができればいいのですが、新たに社外から見つけてくるということになると、これも大きな負担となります。





専用サーバと共用サーバ

 ホスティングは共用サーバとして提供される場合と、専用サーバとして提供される場合があります。

 専用サーバの場合は、1台のサーバを丸ごと一人で利用できます。この点はハウジングと変わりません。ただ、ハウジングのようにコンピュータを自前で調達したり、更新したりという手間がかかりません。

 専用サーバは1台のサーバを一人で利用しますので、設定は契約者が自分の都合に合わせて自由に変更することができます。その代わり、設定や運用は契約者自身で行う必要がありますので、ある程度の専門知識が必要となります。

 共用サーバは1台のレンタルサーバのハードディスクの領域を複数のユーザで借りて使用します。共用サーバの場合は同じサーバを共用して使いますので、個々のユーザの都合でサーバの設定変更をすることができません。その代わり、共用サーバ1台の費用を、利用者全員で負担しますので比較的安価に利用できます。

 レンタルサーバにはこれ以外に、仮想サーバ(VPS)、クラウドサービスとして提供される場合があります。



仮想サーバ

 VPS(Virtual Private Server)は仮想(専用)サーバです。1台のサーバを複数のユーザで共用するという点は共用サーバと同様です。しかし、自由度や性能においては、専用サーバと同じと考えても構いません。1台のサーバの中に、契約者専用の領域が用意されます。この領域はまるで1台のサーバのように機能します。




 VPSでは1台の物理サーバの中に、仮想的に複数のサーバを構築します。物理サーバのCPUやメインメモリ、ハードディスクなどを制御するために共用のOSが準備され、その共用OSの土台の上に、ゲストOSが用意されます。基本的には、ゲストのOS同士は独立で互いに干渉することはありません。

 ゲストOSは互いに干渉しませんので、あるユーザの利用によって、それ以外のユーザが影響を受けることはありません。あるユーザがOSに過負荷を掛けているので、他のユーザに影響があるとか、あるユーザのOSに障害が発生したので、それ以外のユーザに影響が及ぶ、などということはありません。

 メモリやCPUについても、共用サーバと違って、ゲストOS用の性能が確保されるようにされているため、共用サーバよりも負荷のかかる利用にも適しています。また、ゲストOSの上で動かすアプリケーションも他のゲストOSとは全く無関係に決めることができます。


 次に示すのは仮想サーバのイメージ図です。


 一口にVPSといっても、様々なタイプがあります。主なものは「ホストOS型」と「ハイパーバイザー型」です。

 次に示すのは「ホスト型」のイメージ図です。ホスト型はホストOSに仮想化ソフトを導入し、その上で仮想化マシンを立ち上げます。手軽に利用できるのがメリットで、既存のマシン環境で、アプリケーションをインストールする感覚で利用できるため、汎用マシンでの仮想化や、検証用などに利用されます。

 ホスト型は、ホストOS上に仮想化ソフトを導入して、その上にゲストOSを立ち上げますので、CPU、メインメモリ、ハードディスクなどのハードウェアの制御はホストOSを経由して行う必要があります。また、ホストOSを利用するアプリケーションも稼働しています。そのためゲストOS上の仮想サーバの処理の他にも、ホストOS上のアプリケーションにもリソースを割り当てなくてはなりませんので、処理速度が出ないという欠点があります。


 データセンターなどでVPSとして提供されるのは殆どが「ハイパーバイザー型」です。ハイパーバイザー型は、物理サーバ上に直接ハイパーバイザーというソフト(仮想化のための専用OS)を導入し、この上に複数の仮想サーバを立ち上げます。ホストOSを必要としないので、ハードウェアを直接制御することができるため、速度低下を最小限に抑えることができます。


 専用サーバは1台まるごと一人で利用できます。VPSは仮想的な専用サーバですが、1台まるごと専用しているわけではありません。従って、性能や負荷耐性の点で、専用サーバが優れているといわざるを得ません。多数の利用者が同時に、CPUに負荷を掛け、メモリを利用しだすということがないわけではありません。物理サーバそのものに障害が発生した場合は、その物理サーバを利用している他のユーザにも影響があります。また、通信回線も複数人で利用することになりますので、他の利用者の利用状況によってはレスポンスが悪くなる場合もあります。

 ただ、統計的には、利用者の人数が増え、その利用者の地域が地理的に広がると、利用者はバラバラの時間帯に利用しだしますので、物理サーバの運用という観点から見て、非常に効率的になります。この結果、VPSは非常に低価格で提供できるということになります。




 サーバの管理に関しては、一般的には共用サーバの場合、はレンタルサーバ業者が行います。専用サーバやVPSサーバは、ユーザ自身が管理します。これに対して、マネージドサーバ(マネージド専用サーバ、マネージドVPS)というタイプがあります。マネージドサーバは管理についても業者に任せてしまうというものです。障害の発生時にも24時間365日対応してもらえますので、自社に専門技術者がいないという場合でも(例えば中小企業で人材が確保できない場合や、新規事業の立ち上げの場合など)、安心して利用できます。ただし、マネージドサーバといっても業者のサービスの種類によって様々異なりますので、どこまでは自分でやらなくてはならないか、どこからはやってもらえるのか契約時には細かく把握しておくことが必要です。


クラウド

 レンタルサーバには大きく分けて「共用」と「専用」、「仮想的専用(VPS)」の3つのタイプがあります。しかし、最近は新たに「クラウド型ホスティング」というタイプが登場して、注目を集めています。

 クラウドとはクラウドコンピューティングを省略した言い方です。では「クラウド」って何でしょうか?クラウドはCloud=雲ということだと思いますが、何のことかははっきりとは分かりません。どこかで正式に定義された言葉ではなさそうです。昔からコンピュータネットワークは雲を使って表されます。これは、ネットワークの先に何があるかハッキリとは分からないけれども、プロトコルに従って何かを要求すると、要求通りの答えが返ってくるというような世界を表現するものです。つながっている先は何だかもやもやしていてはっきりしないものだという場合に、それを雲を使って表現するということだと思います。

 従来、メールサーバは自宅、あるいは自社のネットワーク内で動かし、それを介して電子メールの送受信をしていました。この場合は、メールサーバにはサーバ管理者がいて、その管理者は設定の隅々まで心得ていて(Openソースのサーバなら、ソースコードそのものまで知っていてサーバの動作を細部まで全部知っている可能性もあります)、その管理者の設定した通りに電子メールサーバが稼働しています。この場合は、管理者が設定について隅から隅まで心得ているという意味で、クラウドではありません。しかし、電子メールサーバが企業のネットワーク内にあると、その企業の社員でも、自宅に帰ると、あるいは営業のために外出すると、その電子メールサーバを使うことができません。そこで、この電子メールをWebブラウザから使えるようにしたサービスが開発されました。これをWebメールといいます。皆さんの中にも利用者がいるのではないかと思われるGmailやHotmailなどが、このWebメールに該当します。GmailやHotmailなどは利用者にはその内部の設定などが分かりません。どのようなプログラムが、どのような設定で動いているのか皆目わかりません。しかし、ユーザが希望した通りのサービスを提供してくれます。これが、クラウドサービスです。

 GmailやHotmailなどのクラウドサービスはSaaS(サーズ、サース、Software as a Service)と呼ばれます。PCにアプリケーションをインストールしなくても、インターネット経由でサーバにアクセスることで、そのアプリケーションを使うことができます。

 クラウドのサービス形態としては、SaaS以外に、PaaSと、IaaSというタイプがあります。PaaS(パース、Platform as a Service)はインターネット経由のアプリケーションの開発・運用の場を提供するサービスで、システム開発者・管理者向けのサービスとなります。IaaS(イアース、Infrastructure as a Service)はインターネット経由でハードウェアや回線などのいわゆる「インフラ」を提供するサービスです。利用者はOSと共にハードウェアの性能などを自由に選択することができます。

 IaaSは仮想化技術を使ってインフラを提供していますので、このタイプのクラウドサービスは、VPSとほとんど同様のサービスということになります。

 しかし、IaaSタイプのクラウドサービスは、VPSと全く同様かというとそういうわけではありません。一般的にレンタルサーバとよばれるもの(共用、専用、VPS)は契約内容が固定的です。ディスク容量はどれだけ利用できるか予め決まっています。それから料金も低額です。転送量に関しても1日当たり70GBまでと上限の目安が決まっていますが、これを越えてしまったからと言って、その月の支払額が増えてしまうということはありません。専用サーバであっても、こうしたスペック(性能)は決まっていますし、料金も決まっています。VPSに関しても同様です。

 ただ、スペックが固定していると困ることもあります。何かのきっかけで自分のWebサイトに予測をはるかに超えたアクセスが集中することがあるとサーバがダウンしてしまうかもしれません。このような場合に備えて、高い料金プランのコースを選択するという手もありますが、めったにないことに備えて、高い料金を払い続けるのもコストパフォーマンス的にはつらいものがあります。

 このような場合に柔軟に対応できるようにしたサービスが、クラウドサービスです。物理的な仕組みとしてはVPSとほとんど同じです。VPSはサーバを仮想的に構築したものですので、CPU・メモリ・ディスクなどの性能も設定次第で柔軟に変更できます。また、必要とあればアクセスを複数の仮想サーバに振り分けるなどの設定も可能です。ただし、VPSは貸し出すときにそれを固定して貸し出しています。スペックを固定して、料金を固定化する方がユーザに受け入れやすいと考えたからだと思います。ところが、そのような方式では、ユーザを必ずしも満足させることができないということがハッキリしてきました。ユーザはもっと柔軟な使い方を望んでいる場合もあります。サービス提供会社はこのことを知って、柔軟なサービスも提供品目として追加してきました。これがクラウドのIaaSです。

 ところが、最近はクラウド型のサービスの例とされていたものを、VPSで提供する場合もあります。その結果、VPSとクラウド型のIaaSはますます区別のできにくいものとなっています。例えば、従来仮想マシンを複数台つなぐローカルネットワーク機能などはクラウド型の特徴と言われていたのですが、VPSという名前で、これを提供しているサービスなども出てきています。




選択基準

 レンタルサーバには共用、専用、VPS、クラウドのIaaSなどがありますが、どのように使い分けられるべきでしょうか

 クラウドIaaSを共用、専用、VPSと比較してみると、メリットとしては、アクセス状況に柔軟に対応してもらえる点があります。期間を区切って特定の期間だけ利用したいとか、リソースを増やしたいというような要望にも柔軟に対応してもらえます。それから、必要なサービスだけを選択的に利用することも可能です。それから、必要があるときに素早くサービスを利用できます。

 クラウドのデメリットとしては、コスト高があります。一時的な利用ならいいのですが、継続的に使うのはコスト的に大変かもしれません。それから、多くのオプションがあり、初心者だと何を選んだらいいのか分かりにくいという点があります。使いこなすにも専門的な知識が必要です。オプションをいい加減に選択すると、目的を達成できずコストだけがかさむということになりかねません。

 クラウドを選択するかどうかのポイントは突発的なアクセス増の可能性があるかどうかということになります。

 共用サーバ、専用サーバ、VPSの場合は突発的なアクセス上昇に弱いので、急激なアクセス上昇が予測されるような場合は、一時的にクラウドを利用してはどうでしょうか。ただ、共用サーバ、専用サーバ、VPSの中では、VPSが比較的柔軟ですので、VPSで行けるかどうかもよく検討すべきだと思います。

 クラウドを利用すべき場合としては、例えば、Eコマースのサイトがマスコミの取材を受けて、アクセス上昇が期待される場合とか、人気アーチストのコンサートのチケット販売をWebで受け付ける場合などが想定されます。あるいは大学合格の発表をWebで行う場合なども、利用を検討すべき場合かも知れません。通常受験生は複数の大学を受験し、第一志望の大学の合格発表日と、既に合格している滑り止めの大学の入学手続きの締め切り日が重なっている場合などがあります。このような場合に、万が一でもWebサイトがダウンしてしまうと、受験生は入学金の二重払いを余儀なくされてしまいます。特に医学部を抱えている大学では、Webサイトのダウンは絶対に避けなければならない重大事になります。


オンラインストレージサービス

 クラウドのIaaS型のサービスメニューには、仮想サーバ(CPU、メモリ、OS、ストレージ)を貸し出すサービスや、ファイアウォール機能や、ロードバランサー機能を貸し出すサービスがありますが、これ以外にストレージを貸し出すサービスもあります。この場合のストレージも仮想化されていることが多いので、仮想ストレージレンタルサービスということになると思います。






更新履歴
2017/02/15            作成



























































































 ページの先頭へ