フォニックスの実践(5 rに制御された母音)

フォニックス<綴りと発音の関係>

 母音の読み方には短母音と長母音(アルファベット読み)と二重母音(2つの母音のペアが新たな音を生み出す)がありますが、母音にrが続く時には後ろのrに引きずられて母音が微妙に変化します。このブログでは英語の発音記号はジーニアス英和大辞典の電子辞書版の記号を使っているのですが、ジーニアスの辞書では母音にrが続く際の発音記号に特殊な記号を使っています。何とかその記号を使えないかGoogleで探してみたのですが、残念ながら見つかりません。そこで、Webで一般的に使われているIPA(国際音声記号:国際音声学会が定めた音声記号)を使うことにしました。

arの発音:/ɑ:r/

 arは/ɑ:r/と発音します。日本語の「ア」を発音する時の2倍くらい大きな口を開けて/ɑ/の音を出した後、舌の根元を口の天井にできるだけ近づけて舌と天井との隙間をできるだけ狭くして短く唸るような音を出します。この動作を連続的にやってください。

 arm(/ɑ:rm/:アーム:腕)、car(/kɑ:r/:カー:自動車)、far(/fɑ:r/:ファー:場所あるいは時間的に遠くに)、park(/pɑ:rk/:パーク:公園)、star(/stɑ:r/:スター:星)などを挙げておきますが、他にもたくさんあります。heart(/hɑ:rt/:ハート:心)のように、「e」を発音せずに、arを同じように発音する例もあります。

or、oreの発音は/ɔ:r/

  or、oreは/ɔ:r/と発音します。/ɔ:/は顎が外れるくらい大きく口を開いて、低い音で「オー」といいます。その後、舌の根元を口の天井にできるだけ近づけて舌と天井との隙間をできるだけ狭くして短く唸るよう/r/の音を出してください。この動作を連続的にやってください。 

 core(/kɔ:r/:コア:芯、物事の中心)、fork(/fɔ:rk/:フォーク:フォーク)、north(/nɔ:rθ/:ノース:北)、port(/pɔ:rt/:ポート:港)、shore(/ʃɔ:r/:ショア:海や湖、川などの岸)、short(/ʃɔ:rt/:ショート:短い)、storm(/stɔ:rm/:ストーム:嵐)などがあります。辞書などで調べれば、これ以外にもたくさんの単語を見つけることができるでしょう。

er、ir、urは/ɜ:r/

 er、ir、urは/ɜ:r/です。/ɜ:r/は、舌の根元を口の天井にできるだけ近づけて舌と天井との隙間をできるだけ狭くして「アー」と「ウー」の中間の音を出してください。

 germ(/ʤɜ:rm/:ジャーム:ばい菌)、nerve(/nɜ:rv/:ナーヴ:神経)、term(/tɜ:rm/:ターム:特定の期間、学期、言葉遣い、専門用語、数学の項など※重要単語)、circle(cir-cle)(/sɜ:rkəl/:サーカル:円)、girl(/gɜ:rl/:ガール:少女)、third(/θɜ:rd/:サード:3番目の)、church(/ʧɜ:rʧ/:チャーチ:教会)、fur(/fɜ:r/:ファー:毛皮)、thurthday(thurth-day)(/θɜ:rzdeɪ/:サーズディ:木曜日)などです。

 earに関しては同じように発音する例と、ear=e+arとなって、eを/e/(エ)や/i:/(イ)と発音する場合があります。earを/ɜ:/と発音する例としては次のようなものがあります。early(/ɜ:rli/:アーリィ:予定・定刻よりも早く)、pearl(/pɜ:rl/:パール:真珠)、learn(/lɜ:rn/:ラーン:学んで身につける)、search(/sɜ:rʧ/:サーチ:探す)など、earが語頭、あるいは中間に来るものが多いのが特徴です。

air、areは/er/

 air、areは/er/(エァー)です。/e/は日本語の「エ」とあまり変わりません。あまり口を開かないで、「エ」と言います。その後、舌の根元を口の天井にできるだけ近づけて舌と天井との隙間をできるだけ狭くして短く唸るよう/r/の音を出してください。この動作を連続的にやってください。

 air(/er/:エア:空気)、chair(/ʧer/:チェア:椅子)、fair(/fer/:フェア:農畜産物の品評会、大規模な見本市、博覧会)、hair(/her/:ヘア:髪の毛)、care(/ker/:ケア:世話、注意)、hare(/her/:ヘア:野兎)、share(/ʃer/:シェア:分け前、取り分)などです。

語尾のearは/i:r/、語頭、途中のearは/ɑ:r/か/ɜ:r/

 語尾のearは/i(:)r/です。/i:/は日本語の「イ」と口の形はあまり変わりません。「イ」と言って、その後、舌の根元を口の天井にできるだけ近づけて舌と天井との隙間をできるだけ狭くして短く唸るよう/r/の音を出してください。この動作を連続的にやってください。

 ear(/ɪr/:イア:耳)、clear(/klɪr/:クリア:澄んだ)、dear(/dɪr/:ディア:親愛な)、hear(/hɪr/:ヒア:聞こえる)、rear(/rɪr/:リア:後部)、year(/jɪr/:イア:年)などの例があります。例外は、bear(/ber/:ベア:熊)、pear(/per/:ペア:西洋梨)、wear(/wer/:ウェア:身につける)などです。

 語頭や途中のearは/ɑ:r/や/ɜ:r/が多いので注意して下さい。heart(/hɑ:rt/:ハート:心)、early(/ɜ:rli:/:アーリィ:予定よりも早く)、pearl(/pɜ:rl/:パール:真珠)、learn(/lɜ:rn/:ラーン:学んで身につける)、search(/sɜ:rʧ/:サーチ:~を求めてくまなく探す)などです。

 フォニックスのルールはこれで全部ですが、最後にどのように音節を区切るのか、音節がつながった時に、音節間にどのような変化が起きるのかについて学んでいきましょう。

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